自転車に二人乗りして、君とどこまでもゆくんだ。
細い路地をまがって、
大通りに出て、どこまでもどこまでも、ゆくはずだったのに。
橋にさしかかって川を渡りきる手前で、
なんとなく ふいにペダルを止めてしまった。
君はなぜか河原に降りて
そこに停めてあった別の自転車に乗りかえると、
「じゃあね」と大きく手を振ったあと、
振り返らずに どんどん遠く小さくなっていった。
君の姿が完全に見えなくなるのを確かめて、
僕は再び自転車をこぎだし 川をこえ さらにゆく。
ただただ、ペダルをこぐことしかできなかった。
言葉にならない喪失感の中で
僕が唯一考えていたこと それは、
「もう『きゅっ』ってしてもらえないんだ…。」
ただ、それだけ
目覚めたとき、僕は泣いていたんだよ。
<2003.5.23>
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