「ヤマツツジ、ヤマツツジ、しだれ桜、ユキヤナギ、ヤマツツジ…」
君が窓から見える景色、読みあげる。
君と出会ってからの僕は
少し花の名前がわかるようになった。
前よりよく笑うようになった。
そして、ほんの少し 涙もろくなった。
何もしなくても、季節はめぐってゆくんだね。
四季のある国に生まれ 当たり前のようにすごしてきたけど、
今ここに 君とふたり 何不自由なく春を見送ることは
万にひとつの 奇跡なのかもしれないね。
「ハナミズキ、 ハナミズキ、ハナミズキ、イチョウ、ハナミズキ…」
街が近づくと、見慣れた街路樹。
君はちょっと淋しそう。
ふもとの信号待ち 振り返った君の目に
春はぼんやり、さくら色にかすんでいた。
また、行こうね。
<2003.4.17>
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