その日 ぼくは、 そんなことがあったなんてまったく知らずに ここから明け方の空を眺めていた。 その日 ぼくは、 明日くる悲しいしらせのことなんて思いもしないで 今日も未完成のままのこの庭で、 今日も未完成のままのその手紙のこと のんきに考えてた。 明日ぼくは、 どんなによくできたフィクションも 現実には なにひとつかなわないということを知る。 <2003.6.22>