Garden #1 屋上庭園 ぼくは、とうとう手にいれたんだ。 君のあこがれの屋上庭園。 「その庭の いちばん見晴らしのいい場所に テーブルとイスとパラソルしつらえて、カフェを開きましょう。 青いスカビオサとニゲラ、オペラピンクのブーゲンビレアを植えて、 切り花にして飾りましょう。 くだもののなる木をたくさん植えて、 おいしいお菓子を作りましょう。 小さな頃にあこがれた、おばあちゃんのあの庭のように、 昼にはやわらかな陽射しを集め、 夜には満天の星を抱くその場所に 私は名前をつけて、小さな看板を掲げましょう。」 君はこの日を本当に待ち望んでいたよね。 花の本や庭の本、いっぱい買い込んで、 いつも楽しそうにあこがれの庭の話をしてたよね。 ぼくは花の名前なんかまったくわからないけれど、 君が笑ってるだけで幸せだったんだ。 ◇ ぼくは、とうとう手にいれたんだ。 君のあこがれの屋上庭園。 日だまりも、星空もあるこの場所で、 ぼくはどうしたらいい、 だって君だけがいない。 |
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