手紙#0 はじめに なにから書いていいのか、わからないけど、 やっと かたちにする決心がついたから 僕は今さらながらこの手紙を書く事にしました。 ここは架空の庭だけど、僕の気持ちは現実のものだから、 やっぱりあなたに届けばいいな と思うのです。 あなたは、綺麗で、聡明で、やさしくて、それでいてちょっとだけわがままなところもあって、 僕にとっては お姫さまのような存在でした。 こんなのおかしいのかもしれないけれど、恋というのではなく、愛というのでもなく、 ただただ、あなたのことが大好きでした。 あなたのことを思い出す時、いつも一緒にいた昔の出来事よりも 三年前、二人で展覧会にいった帰り道のあのカフェのシーンに戻ります。 あのとき、 僕は30になったばかりで、20代の頃に見えなかったいろんなことが見えてきて楽しい と話した。 あなたは、そんなふうには考えられない、30をすぎても楽しいことばかりではない と言った。 いま思えば、僕はあのとき きちんとあなたにこの気持ち、伝えればよかったんですね。 後悔しても もう遅いのだけれど、 今さら、もう本当に遅いのだけれど。 |
||